「暇」と真面目に向き合った結果、「暇」をテーマに起業することにした

こんにちは!奥多摩移住者のたまおです。

本サイトはダウンシフトをテーマと掲げているわりに、今日まで仕事のことにはほとんど触れられていませんでした。

それもそのはず、2023年3月末に退職してから約3か月間は特に働くこともなく、

僕たちはどう生きるか

と今後の働き方をあれこれと考えていたからです。そして7月末、ようやく個人事業主として起業してきました。

ダウンシフト前は「地域活動をするNPOを立ち上げたい」とか「若者を代表して選挙に出たい」と考えていた時期もありましたが、変わりましたね〜!

さて、本やネット記事で移住体験談を見ると、仕事については「カフェをはじめました!」とか「雑貨を作って販売しています!」みたいな働き方が紹介されていますよね。

それらを見るたび、

羨ましい…できるものならしたい!

と思いますが、なんとなく特別な成功体験談って感じがして、とても自分にもできるとは考えられません。

なんかもっと、地に足が付いた感じのリアルな体験談が知りたいんですけど!

というわけで、起業したての僕が諸々の経験を記録していくことで、移住×仕事のリアルな体験談として発信できたらと。

「思ったより順調じゃん」とか「全然だめじゃん」とか、成功も失敗も含めて、移住について考えている皆さんの参考になりますと幸いです。

就職するか起業するか

就職ではなく、個人事業主を選んだ理由

仕事のことって、きっと誰しも1度は悩みますよね。

最近、30代の友人たちからこんな話を立て続けに受けています。

今の仕事内容は自分に合っていない気がする。次の仕事探そうかな…

大企業で給料は十分もらえているけれど、働き続けたいと思えるほどの学びがない。

20代はガムシャラに走り抜けてきたけれど、30代になってふと立ち止まって考え込んでしまったのかもしれません。

僕はといえば、以前記事にしたとおり「マネジメントが苦手」という理由で「会社向いてねえ~!」と痛感しました。

※参考 たまおが仕事を辞めた理由

そして30歳のときに、

年金の受給開始が65歳だから、あと会社で35年働くのか…。無理だ!!

と心が折れ、今に至ります。

まあ実際、65歳で年金がもらえたらいいほうですよね。

周知のこととは思いますが、年金の受給開始上限年齢は引き上げられていて、今日の年金制度は「65歳で定年したあと、もう10年働いてから年金もらった方がお得だよ!」というもの。

僕が高齢者になった頃には「人生110年時代!80歳までは元気に働いてね!」みたいな世の中になることもありえない話ではありません。

暗くて長い不確定な人生ですが、これを前向きに生きるには「楽しい仕事に就く」か「億単位の財産」か「圧倒的な社会保障」のいずれかが必要だと感じます。

※「億単位の財産」や「圧倒的な社会保障」は運や他者に依るところが大きいので割愛

僕は会社組織に苦手意識があるので、「楽しい仕事に就く」ためには「楽しい仕事を創る」必要があり、個人事業主として起業することにしました。

個人事業主は金銭的にどう得なのか

個人で仕事をしたいだけなら個人事業主になる必要はなく、単にフリーで働いても問題はありません。

個人事業主になるためには、開業届を税務署に提出する必要があるため手間がかかります。

それでも、金銭的にお得になるため僕は個人事業主となることを選びました。

どのようにお得かというと、たとえば商売をしていると所得税を毎年納める必要がありますよね。

所得税は「所得」(「収入(売上)」から「経費」を引いたお金)が課税の対象となりますが、個人事業主となって「青色申告」することで、「所得」からさらに「青色申告特別控除(65万円)」を引いた金額が課税の対象となり、納めるべき税金が安く済みます。

青色申告
出典:弥生会計

もっともっと様々なメリットがあるようですが、僕はこれだけでも十分お得と感じたので、個人事業主になることを決めました。

事業を紹介します!

事業概要

これから取り組んでいく事業について紹介します。

屋号名は「イトマニア」としました。「暇(いとま)」の「マニア」という意味を込めています。

イトマニア

イトマニアの理念は「過激に暇する。」

もっとスローに暮らしたいと考える人が希望の生活を送れるように、大衆のライフスタイル革新を目指します。

そのために、もっと暇をつくる方法、もっと暇をたのしむ方法を提案し、気力と余裕が溢れる社会づくりに寄与します。

イトマニア

描いているビジョンはこんな感じ。

暇をMake(つくる)することで、人々に余裕が生まれます。

暇をEnjoy(楽しむ・嗜む)することで、人々に気力が溢れます。

僕たちは溢れる気力と余裕で、暇をFor Society(社会のために活用)します。

暇は気力と余裕が溢れる社会をつくる原動力であるという考えを根底に活動します。

事業詳細

理念やビジョンはフワフワしているもの。続いて具体的な内容の紹介です。

「暇 Make」では、本サイトを通じて移住生活やダウンシフト生活に関する情報発信を行います。今度「移住生活」をテーマにトークすることで、謝礼がもらえるというお話がありました。こうして、幅広く移住生活やダウンシフト生活に関する周知・啓発に取り組んでいきます。

「暇 Enjoy」では、奥多摩町内の魅力ある自然などを活用して、余暇時間を楽しむためのプログラムを企画・運営します。現在、企画段階なので事業化にはまだまだ時間がかかりそうです。

「暇 For Society」は、これまでシンクタンクで働いていた経験を生かす領分です。まちづくりに関する調査や研究支援、ワークショップや研修運営を行います。また、友人・知人や地域商店の手伝いなどにも率先して取り組み、広く社会の役に立てたらと考えています。

お金になること、ならないこと、様々にありますが、やりたいことを体系化したらこんな内容になりました。

目先の生活を考えたらお金になることだけに取り組めばよいのですが、お金にならないことにも「楽しい仕事を創る」ための投資だと思って取り組みます。

なんだかんだ事業が軌道に乗らないうちはアルバイトでも生活費をまかなうことができるというのが、安心材料となっていますね。

少しずつでも事業を形にしていけたらと思っています。

※参考 アルバイトでも十分生活費をまかなえることを紹介した記事

なぜ「暇」がテーマなのか?

昔は「暇」が苦手だった

今でこそこんな事業をはじめましたが、もともとは暇が大の苦手でした。

まだ20代の、昼職しながら夜間大学院で研究活動に精を出していた頃。

どこに行くにもノートパソコンを持ち歩いて、暇さえあれば論文を書いて過ごしていました。

早朝のカフェ、職場までの電車、職場の休憩時間、大学院までの電車、夜の図書館、帰りの電車…。

ある休日、論文の進捗もよかったのでリフレッシュしようとノートパソコンを置いて出かけてみました。

そのときは明大前駅に住んでいたので、新宿、吉祥寺、下北、渋谷など、電車に乗れば繁華街へとすぐに出られます。

どこに行こうか考えながら明大前駅まで歩き、改札を通って、京王線と井の頭線のホームを行ったり来たりしながら乗る電車を考えました。

そして、次々とホームに到着する電車を見送り、結局どの電車にも乗ることができないまま30分以上経ち、ホームに立ちすくんで泣いてしまいました。

電車に乗った先でノートパソコンが開けないなら、何をしてよいかわからない。だからどこにも行くことができない。

暇な時間の過ごし方がわからなかったんですね。よほど余裕がない日々を過ごしていたようです。

「暇」を受け入れて思うこと

ダウンシフトして3か月が経ち、ようやく暇を嗜むことができるようになりました。

やっぱり、暇っていいものです。

1か月目は、暇に耐えられなくて、何か予定を入れることに必死でした。「今日は買い物に行くぞ」「明日は図書館に行くぞ」って。

2か月目は、気持ちに余裕がでてきて、暇に積極的にアプローチしていました。「今日は昼寝をするぞ」「雨音を聞いてボーっとするぞ」って。

3か月目は、自然と暇を受け入れていました。「お昼ごはんを食べると眠いなあ」「昼寝が必要だ~」「あ、今週毎日昼寝してるじゃん」って。

3か月経ってようやく気づいたのは、

暇を受け入れること=裸の自分と向き合うこと

本当に暇な状態だと、何をするにも

「やりたいからやる」

「やりたくないからやらない」

と自分の正直な感情と真摯に向き合うようになりました。

気力や余裕がないときって、なんとなく流されたり、自分をごまかしていたりしませんか?

「あなたのためにやったのに!」とか理由をつけて必要以上にがんばっていたり。漠然とした不安をお酒や友達で紛らわしたり。

移住前に「地域活動をするNPOを立ち上げたい」とか「若者を代表して選挙に出たい」と考えていた自分も同じで、あの頃は余裕もないくせに「誰かのために」を盾に自分を誤魔化していた気がします。

暇を受け入れられたことで、自身のそうした卑しさも理解して、正直な感情と向き合えるようになりました。

そんなこんなで、「暇」は僕の心身にたくさんのポジティブをくれたことを身をもって知っていますし、今の社会にもっと必要なものだとも感じます。

長く熱意を持って取り組むに相応しいテーマだと考えて、「暇」を仕事にしようと決めました。

起業に関する手続き

開業届の提出

さあ、個人事業主になることを決めたら、あとは各種手続きです。

自身のマイナンバーがわかるものと、本人確認書類を持って近くの税務署へ行きましょう。(僕はマイナンバーカードを持っていきました)

「個人事業の開業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」の書類を2枚提出するだけなので、5分で手続きは終わります。

書き方がわからなくても、聞けば教えてくれるので、不明点は遠慮なく窓口の職員さんに聞いてみるとよいと思います。

再就職手当の受給手続き

失業手当を受給中の人であれば、個人事業主になることで再就職手当の給付対象になる場合があります。

僕も今回の起業でハローワークから再就職手当を受給することができました。

※こちらに詳細をまとめています。

定住促進サポート事業支援金の交付手続き

奥多摩町には「定住促進サポート事業支援金」という移住者の起業等に支援金を交付する制度があります。

他自治体でも、都道府県や市区町村がこうした支援金を出していることがありますので、ぜひ移住を検討しているまちのホームページを確認してみてください。

さいごに

奥多摩町に移住してきたからこそ、こうして起業することができました。

恵まれた環境に感謝しながら、少しずつ地域のために、社会のために、何かできたらと思っています。

うまくいくかな〜。いくといいなあ〜。がんばらないとな〜。

まだまだ駆け出しの身なので、皆さん温かく見守っていただけますと幸いです。おしまい。